起業家応援!事業報告会・サービス体験会③合同会社ほたる・株式会社CE-WORKS|イベントレポート
7月30日(木)かごゆいテラス(鹿児島県庁18階)にて、「起業家応援!事業報告会・サービス体験会③」を開催しました!
今回は、鹿児島県主催のビジネスプランコンテストで昨年度ファイナリストに選ばれたお二人、合同会社ほたる代表の内田ルミさんと株式会社CE-WORKS代表取締役の中村隆志さんにご登壇いただき、それぞれの事業の歩みと今後の展望を語っていただきました。
【イベント詳細】
起業家応援!事業報告会・サービス体験会③|ビジネスプランコンテストファイナリスト特集
日時:2026年7月30日(木)18:00〜20:00(懇親会含む)
会場:かごゆいテラス (鹿児島市鴨池新町10-1 鹿児島県庁18階)
登壇者:合同会社ほたる 代表 内田ルミさん
株式会社CE-WORKS 代表取締役 中村隆志さん
ビジネスプランコンテストとは
鹿児島県が毎年主催する「鹿児島県ビジネスプランコンテスト」は、県内で起業を予定している方や新規性のあるビジネスプランを持つ方(高校生・大学生もOK!)を対象としたコンテストです。
「新規性及び成長性がある事業」または「地域課題の解決に資する事業」を募集テーマとしていて、書類審査を通過するとファイナリストとして、専門家のサポートや最終審査会でのプレゼン機会、事業化に向けた補助金(なんと上限150万円!)など、手厚い支援を受けられます。
今回登壇のお二人は、令和7年度のファイナリストです!
内田ルミさん|介護事業と海洋散骨事業への挑戦
元看護師・ケアマネージャーの内田さんは、ビジネスプランコンテストへの挑戦をきっかけに、2024年3月1日に介護事業所を独立開業しました。AIツールを活用して業務を効率化し、融資申請や法人設立などの手続きを一人でやり遂げた実績を紹介。本業のケアマネージャー業と並行して、合同会社ほたるとして海洋散骨事業も展開しており、広告費をかけずにスタッフを雇用してきたといいます。
介護業界のIT化の遅れに課題意識を持ち、ケアマネージャーの書類作成を自動化するシステムの実装や、ものづくり補助金を活用したアプリ開発にも着手。海洋散骨事業では、ロゴ制作やパンフレット作成、救命胴衣のオリジナル化を進めるとともに、観光協会や新聞社と連携し、終活の選択肢のひとつとして海洋散骨を広める活動にも取り組んでいます。

ビジネスプランコンテストへの参加を通じて経営視点を学び、事業計画を具体化できたと振り返る内田さん。「コンテストのファイナリストとしての実績が、日本政策金融公庫からの迅速な融資決定や、鹿児島銀行からの協力を得るうえで非常に有利に働いた」と語りました。海洋散骨の社会的意義については、故人への想いを大切にする選択肢であり、遺されたご家族が故人との思い出と向き合ううえで心の区切りになる事例も紹介されました。
一方で、船の手配が最大の参入障壁であるという課題も明かされ、操縦資格を持つ人材の確保や旅行業登録によって対策を講じているとのこと。全国的に海洋散骨の件数は増加傾向にあり、5年後には3万件以上に達するとの予測もあり、今後の需要拡大が見込まれています。
中村隆志さん:医療機器管理のシェアリングインフラ「CE-WORKS」
続いて登壇した中村さんは、母親の治療経験をきっかけに臨床工学技士を志したという事業の原点から語り始めました。医療現場の構造課題として、看護師が全国に約128万人いる一方、生命維持管理装置などの保守を専門的に担う国家資格「臨床工学技士」はわずか3万人と圧倒的に不足しており、全国約8,000病院の半数で常勤の臨床工学技士が不在という現実があります。専門知識を持たない看護師が本来の業務と並行して機器点検を行っているケースも多く、実際に点検した医療機器(輸液ポンプや超音波ネブライザーなど)には清掃や消耗品交換が行われていない汚れが蓄積しているケースもあり、衛生的なリスクを抱えていると警鐘を鳴らしました。
そこで中村さんが構築したのが、臨床工学技士の専門技術を複数の小規模医療機関で「シェア」する仕組みです。「単なるスポットの点検・修理代行ではなく、専門職として医療機器管理業務を包括的に受託し、安全管理体制の構築・運用を継続的に支援する」のがCE-WORKSの特徴。24時間勤務など過酷なシフトにより離職した潜在的な有資格者(ママ、シニア層など)を組織化し、日勤のみ・週数回・パートタイムといった個人の生活に適合した柔軟な働き方を設計することで、専門資格キャリアの維持と地域医療への還元を両立させています。

独自開発のクラウド機器管理システム「MEDIcareCE」により、機器台帳や点検履歴、トラブル対応を一元管理し、誰が担当しても均質な保守サービスを提供できる体制を実現。料金プランは、月1回訪問・管理台数30台までの「ライトプラン」(月額約5万円)、月2回訪問で巡回点検・研修を行う「スタンダードプラスプラン」(月額約12万円)、週2回訪問・管理台数100台まで対応し24時間オンライン対応も含む「フルプラン」(月額約20万円)の3種類。臨床工学技士を正社員として1名雇用する場合の年間コスト(約450万円)と比較し、ライトプランなら年間60万円、スタンダードプラスプランなら年間約180万円に抑えられるという高い費用対効果が評価され、現在3つの病院で導入が進んでいます。
こうした取り組みの成果として、医療機器管理状況を数値化する「MEMSスコア」の改善が確認されているほか、鹿児島県信用保証協会賞の受賞、令和8年度鹿児島県起業支援事業助成金への採択という実績にもつながりました。中村さんは「ビジネスプランコンテストへの挑戦により、医療機関や医師会へのアプローチにおいて県・信用保証協会のお墨付きという社会的信用を得られたこと、そして保証制度や資金調達への道が開けたことが大きな意義だった」と振り返りました。今後は現在鹿児島で確立した仕組みを九州全域へ展開する計画で、有資格者の確保という採用課題については現地パートナーとの連携で対応していく方針です。
質疑応答・懇親会
お二人のプレゼンテーション後の質疑応答では、内田さんへビジコン参加の感想や海洋散骨の意義について質問が集まりました。メンター指導が事業計画づくりに役立ったことや、13年前に亡くなった母と弟の遺骨を共に散骨したご家族が「初めて母が夢に出てきた」と喜んだエピソードを紹介。船の手配や船長確保が参入障壁だが、船舶免許保持者の採用や旅行業登録で対応中とのことです。中村さんへは、潜在人材の活用や社会的信用、24時間対応の難しさについて質問が及び、県内有資格者約600人のうち稼働可能な人材の少なさや、まずは鹿児島の仕組みを九州へ横展開する方針を説明。今後はLINE活用などでサービスを改善していくとのことでした。


質疑応答の後は懇親会へ移行し、参加者同士の交流の時間となりました。
また中村さんは最後に、これから起業を目指す方へのメッセージとして次のように語りました。「起業は特別な人だけの選択ではありません。高度な経営スキルが最初から必要というわけではなく、必要なのは自身の『経験』と『課題発見力』です」。そして「“Try&Error”の繰り返しを恐れず、走りながら考え、形にしていきましょう。現場で感じる『おかしいな』『不便だな』という小さな違和感こそが、新しい仕組みの種になります」という言葉が、会場の参加者の心に響いていました。

ご登壇いただいた内田さん、中村さん、そしてご参加いただいた皆様、ありがとうございました!ビジネスプランコンテストへの挑戦から事業を大きく前進させたお二人の実践的な学びが詰まった、充実したイベントとなりました。